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メトホルミンダイエットは痩せない?効果・価格・副作用を解説

この記事の結論
  • メトホルミンは糖尿病治療薬として半世紀以上の歴史を持つ薬
  • 近年ではアンチエイジングダイエットなどの効果があることがわかってきている
  • GLP-1(痩せホルモン)分泌量増加や血糖値の低下などダイエット効果があるが、減量効果は非常に小さい
    1年間で1.3kgという実験結果
  • メトホルミンを飲めない人や禁忌もあるため医師の管理下で服用する必要がある
  • 大幅に痩せたい人にはサクセンダやリベルサスなどのGLP-1受容体作動薬による医療ダイエットがおすすめ
目次

なぜ痩せる?メトホルミンのダイエット効果

GLP-1の分泌量が増えて食欲が抑えられる

メトホルミンを飲むと、GLP-1というホルモンの分泌量が増加します。

GLP-1は食事をすると腸内で分泌されるホルモンで、食欲の低下やインスリンの分泌促進、消化スピードの遅延といった作用があるため、メトホルミンの服用によるGLP-1の増加がダイエットに繋がります。

血糖値を下げて太りにくくする

メトホルミンは血糖値に関して、以下の3つの作用があります。

①肝臓で糖が作られる糖新生を防ぐ
②腸からの糖の吸収を抑えて便と一緒に排出する
③血糖値を下げるホルモンであるインスリンが効きにくくなってしまう「インスリン抵抗性」を改善する

この様な効果から、メトホルミン服用を服用すると血糖値の上昇が抑えられ、太りにくくなります。

メトホルミンのその他の効果

メトホルミンの作用機序には解明されていない部分も多くありますが、服用によって抗老化作用や安静時の筋肉の減少を防ぐ効果などが示唆されています。

ダイエットだけでなく、老化の遅延や美肌、筋肉の維持といった効果が期待できる可能性があり、さらなる研究が待たれます。

減量効果は非常に穏やか

ダイエットに有効な様々な効果があるメトホルミンですが、実のところその減量効果自体はそれほど大きなものではありません

ダイエット目的ではなく2型糖尿病の治療に用いられた際のデータではありますが、メトホルミンを単剤投与した88名の体重の平均減少量は、12ヶ月間で1.3kgでした。

参考:https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/49/5/49_5_325/_pdf

服用するだけで有意な体重減少が見込める薬ではありますが、劇的に痩せたいという場合には望んだ効果は得づらいでしょう。

大幅な減量を目指したい場合には他のダイエット薬を検討

ダイエットに用いられる薬はメトホルミンだけではありません。

サクセンダやリベルサスなどを始めとするGLP-1受容体作動薬はGLP-1を補充する薬で、メトホルミンよりもGLP-1の効果がより持続的であることから減量効果も大きくなっています。

その他にも糖の吸収を抑えるカナグルや、脂質の吸収を抑えるゼニカルむくみ改善や代謝アップなどの効果が期待できるダイエット漢方など、様々なダイエット薬が存在します。

より短期間でより大幅な減量がしたい場合には、こういったダイエット薬を検討してみてもいいかもしれません。

GLP-1ダイエットについては、こちらの記事で詳しく解説を行っています。

ただし、自己判断での使用は健康を害する可能性があるため、必ず医師の管理の元で使用するようにしてください。

メトホルミンの料金

メトホルミンをダイエット目的で使用する場合には全て保険適用外となりますので、自費での購入となります

そのため明確な料金というのは定まっていませんが、1ヶ月分で5,000~15,000円程度が相場となります。

なお、2,000~3,000円程度で販売している個人輸入サイトもありますが、偽造薬による健康被害などが数多く報告されており非常にリスクが高いため、こういった経路での購入はおすすめしません。

メトホルミンの飲み方

メトホルミンは1日の投与量を2~3回に分け、食前、もしくは食後に服用します。

飲み始めは胃腸症状などが出ることがあるため500mgからはじめて徐々に増やしていき、750~1,500mgが通常の維持量となります。

なお、メトホルミンは容量依存(量を増やすと効果が強まる)薬で、医師の判断により最大で2250mg/日まで服用量を増やすことができます。

メトホルミンを飲んでも痩せない理由

食べ過ぎ

メトホルミンには食欲の抑制や血糖値の上昇防止などのダイエット効果がありますが、いくら食べても太らないというわけではありません。

メトホルミンを服用していても総摂取カロリーが消費カロリーよりも多いと、体重が落ちなかったり、かえって太ってしまったりするため、日々の食事を記録するなどして食習慣にも気を使うようにしましょう。

運動不足

食事制限のみで痩せた場合、脂肪と一緒に筋肉も落ちやすいため、体重が減っているのに思ったほど見た目が変わらないといったケースがあります。

ウォーキングやジョギングといった有酸素運動筋トレなどの無酸素運動を組み合わせることで、脂肪燃焼の促進や筋肉量の維持といった効果を得ることができるため、よりスムーズに綺麗に痩せやすくなります。

期待し過ぎ

上で解説したとおり、メトホルミンの平均的な減量効果は1年間飲み続けて1kgちょっとと非常にマイルドです。

短期間で大幅に痩せたいと思ってメトホルミンを服用している場合、思っていたよりも体重が落ちずに痩せていないと感じる可能性が高いでしょう。

より大きなダイエット効果を得たい場合には、しっかりと管理を行ってくれる医療ダイエットクリニックでGLP-1などのダイエット薬を検討してみることもおすすめします。

メトホルミンの禁忌(飲めない人)

メトホルミンの禁忌は以下のとおりで、該当する場合には服用することができません。

メトホルミンを飲めない人
  1. 乳酸アドーシスの既往
  2. 重度の肝機能障害
  3. 心血管系、肺機能の高度障害、または低酸素血症を伴いやすい状態
  4. 脱水症になりやすい状態
  5. 過度のアルコール摂取
  6. 重度の腎機能障害、または透析を受けている
  7. 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡、1型糖尿病
  8. 重症感染症、手術前後、重篤な外傷
  9. 栄養不良状態、衰弱状態、飢餓状態
  10. 脳下垂体機能不全、副腎機能不全
  11. 妊娠中、または妊娠している可能性がある
  12. ビグアイト系薬剤に対し過敏症の既往歴

メトホルミンの副作用

胃腸症状

メトホルミンを服用すると、下痢、腹痛、便秘、吐き気といった胃腸症状があらわれる場合がります。

これらの症状は通常、服用開始から1~2週間程度で収まることが多く、容量を調整しながら服用することで軽減することができます。

ビタミンB12低下症

メトホルミンを1,500mg以上などの高容量で長期間にわたって服用すると、ビタミンB12の吸収が阻害され、ビタミンB12低下症があらわれる場合があります。

症状としては貧血、倦怠感、記憶力の低下、神経障害などがあります。

日本人の場合、ビタミンB12低下症は起こりづらいとされていますが、高容量で継続的に服用する場合には定期的な血液検査を行い、ビタミンB12低下症があらわれた場合にはサプリによる補充などで対策を行う必要があります。

乳酸アドーシス

メトホルミンで最も重大な副作用が乳酸アドーシスです。

乳酸アドーシスとは血液中の乳酸濃度が高くなり、血液が酸性に傾いてしまう現象です。

メトホルミンは肝臓での乳酸からの糖新生を抑えるため体内の乳酸が増加しますが、通常は乳酸の代謝も増加して乳酸値は一定に保たれます。

しかし乳酸が代謝可能量以上に増えてしまったり、肝臓の乳酸代謝機能が低下している場合などには乳酸アドーシスが起こってしまう場合があります。

乳酸アドーシスは脱水や低血圧、昏睡といった重篤な症状を引き起こしますが、初期症状はメトホルミンの飲み始めにあらわれる胃腸症状との区別がつきません

乳酸アドーシスが発症するのは稀ですが、メトホルミンは医師の管理下で服用する必要があります。

メトホルミンを服用する際の注意点

併用注意の薬がある

メトホルミンには併用禁忌の薬はありませんが、副作用が出やすくなるため併用の際には注意が必要な薬が少なくありません。

なお、以下は全ての薬を網羅しているわけではないので、服用中の薬がある方は必ず医師へ報告をしてください。

乳酸アドーシスを起こしやすくなる薬

以下の薬はメトホルミンの副作用である乳酸アドーシスの発症率を高める可能性があるため、併用する場合には医師の判断を仰ぎましょう。

  • CT撮影などの際に投与するヨード造影剤
  • ゲンタマイシンなどの抗生物質
  • 利尿作用の強い各種薬剤

低血糖を起こしやすくなる薬

メトホルミンには血糖値を下げる効果があるものの、単独で服用した場合に低血糖を起こすことはほとんどありません。

しかしGLP-1受容体作動薬をはじめとする血糖値を下げる薬と併用した場合、低血糖を起こしやすくなるため注意が必要です。

血糖値を下げる働きが弱まる薬

以下の薬剤とメトホルミンを併用すると、メトホルミンの血糖値を下げる働きが弱まり、十分な効果を得られなくなる可能性があります。

  • アドレナリン
  • ピラジナミド
  • イソニアジド
  • 副腎皮質ホルモン
  • 甲状腺ホルモン
  • 利尿剤

メトホルミンの作用を強めてしまう薬

以下の薬剤はメトホルミンが体外に排出されるのを妨げ、メトホルミンの作用を強めてしまうため併用には注意が必要です。

  • ビクテグラビル
  • ドルテグラビル
  • シメチジン
  • バンデタニブ

服用中は過度な飲酒は避ける

アルコールの過剰摂取は乳酸を代謝する肝臓の働きを弱め、また脱水にもなりやすくなるため、乳酸アドーシスを引き起こすリスクが高まります。

メトホルミンの服用中はお酒の飲み過ぎに注意し、またどうしても飲まなければならない場合や飲んでしまった場合には一時的にメトホルミンの服用を中止してください。

まとめ

メトホルミンのダイエット効果について解説しました。

メトホルミンは日本では糖尿病の治療薬としての承認を受けていますが、他にも老化やダイエットを始め様々な作用が期待されている薬です。

自費購入にはなるものの、服用するだけでマイルドな減量効果を得ることができます。

ただし、単体で肥満を解消できるような劇的な効果はないため、より大幅なダイエットをしたい場合には運動や食事制限にも注力したり、他のダイエット薬を検討したりしても良いかもしれません。

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