GLP-1ダイエットの内服薬の種類
GLP-1ダイエットの内服薬はリベルサス®錠であり、3種類の容量があります。
リベルサス錠3mg・リベルサス錠7mg・リベルサス錠14mgの3種類の量に分かれており、容量が増えるほど効果が高くなるものの、副作用が強くなるので注意が必要です。
リベルサス®用法及び用量
通常、成人には、セマグルチド(遺伝子組換え)として1日1回7mgを維持用量とし経口投与する。ただし、1日1回3mgから開始し、4週間以上投与した後、1日1回7mgに増量する。なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、1日1回7mgを4週間以上投与しても効果不十分な場合には、1日1回14mgに増量することができる。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤の吸収は胃の内容物により低下することから、本剤は、1日のうちの最初の食事又は飲水の前に、空腹の状態でコップ約半分の水(約120mL以下)とともに3mg錠又は14mg錠を1錠服用し、また、服用時及び服用後少なくとも30分は、飲食を避けること及び服用時及び服用後少なくとも30分は、他の薬剤の経口摂取を避けること。分割・粉砕及びかみ砕いて服用してはならない〔16.2.1−16.2.3参照〕。
7.3. 投与を忘れた場合はその日は投与せず、翌日投与すること。
世界で初めてGLP-1受容体作動薬として人口投与を実現した薬剤であり、日本では2021年2月に販売が開始されています。
GLP-1ダイエットは「2型糖尿病」の患者に適用があるため、保険診療で処方さレます。
医療ダイエットにおいては、一部の適用のない肥満症の患者に対して、自由診療として処方されます。
GLP-1ダイエットの効果を高める方法
GLP-1ダイエット薬は、インクレチンと呼ばれる消化管ホルモンの一種であるGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)を模倣し、血糖コントロールと食欲抑制をサポートします。
膵臓のβ細胞を刺激してインスリン分泌を促進し、血糖値を下げます。
また、α細胞への作用でグルカゴンの分泌を抑制し、肝臓での糖産生を抑えます。
胃内容の排出を遅らせ、脳に働きかけて満腹感を増強するため、食事量を我慢なく自然に減少させることができます。
こうした作用により、GLP-1ダイエット薬の服薬で血糖値の安定化と体重減少が期待できますが、自己判断での服用はリスクが伴うため、高い効果を見込むには医師の管理が推奨されます。
GLP-1ダイエットを行う上で、ただGLP-1受容体作動薬を服薬し続けることはあまり効果的でない場合もあります。
医師の管理のもと、GLP-1ダイエット薬の服薬のタイミングや治療方針を決めていくことが大切です。
GLP-1ダイエットの効果を高める方法 ①適切な食事管理
GLP-1ダイエットは食欲抑制を助けますが、栄養バランスの取れた食事が重要です。
特に、低炭水化物・高タンパク質な食事(プロテインも含む)を意識すると効果的です。
また、GLP-1ダイエット薬で食欲を抑えつつ、高繊維の食品を摂取することで低カロリーを抑えつつ満腹感を得ることが可能です。
GLP-1ダイエットの効果を高める方法 ②他の薬との併用
GLP-1ダイエットの効果をさらに引き出すためには、場合によって漢方薬などの他の薬を併用することが効果的です。
しかし、他のGLP-1ダイエット薬やインスリン注射と併用すると、過剰に効果が出てしまい健康リスクがあります。
また、利尿薬は食欲減退を促進しますが、脱水症状を引き起こす可能性があるため危険です。
そのため、薬の併用は副作用・相互作用のリスクも伴うため、必ず医師と相談するようにしましょう。
GLP-1ダイエット薬と漢方薬(防風通聖散など)の併用
漢方薬の中には脂肪代謝を高める・腸の動きを促進するものがあります。
例えば防風通聖散は代謝改善や便秘の解消を促すため、GLP-1ダイエット薬による満腹感効果と相まって減量効果をサポートします。
漢方薬の長期使用や過剰摂取は腸の負担や副作用(腸管メラノーシスなど)を引き起こす可能性があるため、服用期間や量は医師の指導のもと決定する必要があります。
GLP-1ダイエット薬とSGLT2阻害薬の併用
SGLT2阻害薬は、腎臓でのブドウ糖再吸収を抑え、尿中に糖を排出することで血糖値の低下と体重減少に貢献します。GLP-1受容体作動薬と併用することで、血糖コントロールと体重減少の相乗効果が期待されます。
SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬の併用は、糖尿病患者や肥満患者の心血管血管のリスクを減少させることが示されています。
SGLT2阻害薬は余分な糖を尿から排出し、血圧を下げる利尿作用があるため、心臓への負担を軽減します。
一方、GLP-1受容体作動薬は血糖値を安定させ、抗動脈硬化作用があるため、血管の健康を保ちやすくします。
脱水症状や尿路感染のリスクが増えることがあるため、水分補給をしっかり行い、定期的な経過観察が重要です。
GLP-1ダイエットの効果を高める方法 ③定期的な医師による診察
GLP-1受容体作動薬を用いたダイエット治療を受ける場合、医師の診察で効果・副作用のバランスを確認してもらうことが重要です。
実際に定期的な診察をしていく上で入念な検査をしているクリニックは少ないですが、治療期間中のGLP-1ダイエット薬の服薬リスクを管理するための理想的な診察について解説します。
具体的なチェック・検査内容と、推奨される診察を受ける頻度について説明します。
GLP-1ダイエットの定期的な医師による診察 ①初期診察(治療開始から最初の1~3か月)
GLP-1ダイエットの初期診察は、治療開始から最初の1~3か月の間で行われます。
薬の効果や体の反応、副作用の有無を確認するための重要なプロセスです。
GLP-1受容体作動薬は食欲抑制や血糖値コントロール、体重減少効果がある一方で、消化器症状や体調の変化といった副作用が見られることもあるため、定期的な診察を行います。
治療を開始してからまず1週間から2週間の間に初回診察を行い、患者の体が薬に対してどのように反応しているかを確認します。
特に血糖値や食欲の変化、体重減少の度合いを慎重に評価しながら、無理のないペースでの減量が達成できているかどうかを見ていきます。
また、治療開始後に現れる可能性がある消化器症状(悪心・吐き気・胃の不快感)についても詳しくヒアリングを行い、治療の継続に支障がないかを判断します。
必要に応じて、これらの症状が一時的である場合は対策や、症状を緩和するために薬剤を併用するなどの対応を行います。
治療開始から1か月後には、血糖値のコントロール状況を確認するために、血液検査を実施することが大切です。
特に糖尿病の併発がある患者にとっては、血糖値が適切に下がっているか、HbA1c(過去2〜3か月の平均血糖値)が目標範囲に達しているかを評価することが重要です。
さらに、腎機能や肝機能の検査も実施し、薬の作用による影響が体内で正常範囲に収まっているかどうかを確認します。
腎機能が低下していると、薬の排出がうまくいかず副作用のリスクが高まる可能性があるため、血清クレアチニン値やeGFR(推算糸球体濾過量)をチェックして腎機能の変化がないか検査します。
以下は、例として男性の年齢ごとの血清クレアチニン(Cr)濃度に基づくeGFRの値を記載しています。
この数値よりも大きな数値の下落が見られたら、腎臓の機能が正常範囲から外れていると言えます。
年齢\Cr(mg/dL) | 0.60 | 0.70 | 0.80 | 0.90 | 1.00 | 1.10 | 1.20 | 1.30 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
20歳 | 143.6 | 121.3 | 104.8 | 92.1 | 82.1 | 74.0 | 67.3 | 61.6 |
25歳 | 134.7 | 113.8 | 98.3 | 86.4 | 77.0 | 69.4 | 63.1 | 57.8 |
30歳 | 127.8 | 108.0 | 93.3 | 82.0 | 73.1 | 65.9 | 59.9 | 54.9 |
35歳 | 122.3 | 103.3 | 89.3 | 78.5 | 69.9 | 63.0 | 57.3 | 52.5 |
40歳 | 117.7 | 99.4 | 85.9 | 75.5 | 67.3 | 60.6 | 55.1 | 50.5 |
45歳 | 113.8 | 96.1 | 83.1 | 73.0 | 65.1 | 58.6 | 53.3 | 48.8 |
50歳 | 110.4 | 93.3 | 80.6 | 70.8 | 63.1 | 56.9 | 51.7 | 47.4 |
55歳 | 107.4 | 90.7 | 78.4 | 68.9 | 61.4 | 55.3 | 50.3 | 46.1 |
60歳 | 104.8 | 88.5 | 76.5 | 67.2 | 59.9 | 54.0 | 49.1 | 45.0 |
65歳 | … | … |
GLP-1受容体作動薬は脂肪やグルカゴンにも作用するため、肝臓に負担がかかっていないかをASTやALTといった肝機能マーカーで評価し、副作用の兆候がないかを確認します。
治療開始から2〜3か月目の診察では、体重の変動や血糖コントロールの安定度を再確認し、治療経過を評価します。
体重減少のスピードが早すぎる場合には、必要に応じて食事指導や運動の見直しを行い、無理のない体重減少ペースを目指します。
また、食欲抑制が強くなりすぎている場合には、日々の栄養摂取が不足していないかも確認し、バランスの取れた健康的な食事が続けられるように管理栄養士などのサポートが入る場合もあります。
血圧測定も行い、利尿作用による血圧低下の兆候や脱水がないかも確認することが効果的です。
GLP-1ダイエットの定期的な医師による診察 ②安定期(3か月~1年)
治療開始から3か月が経過すると、体がGLP-1受容体作動薬に慣れ、治療が安定期に入ります。
この期間は、体重減少や血糖コントロールの状態を確認し、薬が健康に負担をかけていないかを評価することが特に重要です。
安定期の診察では、体重や体脂肪を測定して減量ペースが無理なく進んでいるかを確認します。
また、血糖値やHbA1cの測定も行い、血糖コントロールが安定しているかを見ます。
さらに、腎機能と肝機能の検査を行い、薬の長期使用による負担がないか確認します。
血圧の測定も欠かせず、特にGLP-1ダイエット薬の服薬により低血圧や脱水が見られないか注意します。
安定期の診察は3か月ごとが目安ですが、患者の体調や体重変化に応じて2〜3か月ごとの診察が推奨されます。
定期的な診察により、治療が順調であればそのままGLP-1ダイエット薬の服薬を継続し、問題があれば早期に対処することが可能です。
GLP-1ダイエットの定期的な医師による診察 ③長期使用(1年以降)
1年を過ぎると、GLP-1受容体作動薬の治療は長期使用の段階に入り、効果の維持やリバウンド防止に加え、副作用の予防が重視されます。
この時期には、定期的に体重と体脂肪を測定して目標体重を維持できているか、また急激な体重変動がないかを確認することが大切です。
血糖値とHbA1cの測定を続け、血糖コントロールが安定しているかを評価しつつ腎機能と肝機能の検査も行い、GLP-1ダイエット薬の長期使用による臓器への負担がないかをチェックします。
さらに、血中の脂質を調べて心血管リスクを管理し、血圧と心電図の検査も行って心臓への負担がないか確認します。
場合によっては骨密度検査も実施し、急激な減量での骨密度低下リスクも評価します。
GLP-1ダイエット薬の長期使用時における診察頻度は年に1回が目安ですが、体重・血糖値の変動が大きい場合は、その都度さらに頻繁な診察が推奨されます。